働き方改革公開日:2019年10月1日

厚生労働省が副業・兼業の場合の労働時間管理、賃金等請求権の消滅時効の在り方について検討しました

厚生労働省は9月26日、「第154回労働政策審議会労働条件分科会」を開催し、議題は、
「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について」
「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」
の2つでした。
資料としては、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」報告書骨子や、
「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」の「論点」などが示されました。
第154回労働政策審議会労働条件分科会(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06964.html

2014年6月公布の改正民法(2020年4月施行)では、一般債権について

  • ・権利を行使することができることを知ったとき(主観的起算点)から5年間行使しないとき
  • ・権利を行使することができるとき(客観的起算点)から10年間行使しないとき

に、時効消滅すると規定しています。
これに対し、現行労基法では、賃金(退職手当除く)等の請求権について2年の時効を定めていて、改正民法に対応した見直しが求められていました。

以上が、賃金等請求権の消滅時効の在り方を検討しなければならない理由です。
第154回労働政策審議会労働条件分科会において、「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)」で挙げられた主要事項は次のとおりです。
  • ・現行の労基法上の賃金請求権の消滅時効期間を将来にわたり2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないかと考えられる。
  • ・具体的な消滅時効期間については速やかに労働政策審議会で検討し、労使の議論を踏まえて一定の結論を出すべきである。
  • ・昭和62 年の労基法改正で既に消滅時効期間が5年となっている退職手当の請求権の消滅時効期間については、当該改正の経緯も踏まえつつ、賃金請求権の消滅時効期間と併せて検討することが適当である。
  • ・現行の労基法上、賃金請求権以外の請求権については、賃金請求権と同様に2年と設定されており、基本的には賃金請求権の消滅時効の結論に合わせて措置を講ずることが適当と考えられる。
  • ・仮に賃金請求権の消滅時効期間と合わせてこの年次有給休暇請求権の消滅時効期間も現行よりも長くした場合、こうした制度の趣旨の方向と合致せず、年次有給休暇の取得率の向上という政策の方向性に逆行するおそれもある。
  • ・使用者の災害補償責任を免れるための労働者災害補償保険制度(以下「労災保険制度」という。)の短期給付の請求権の消滅時効期間の取扱いをどのように考えるか、さらに、その場合に他の労働保険・社会保険の給付との関係、併給調整をどう考えるかといった課題がある
労働政策審議会では、2017年12月から、賃金等の消滅時効(企業に残業代などの未払い賃金を遡って請求できる期間)等に関する議論を行ってきましたが、今のところ結論は出ていません。

日本経済新聞2019年10月20日の朝刊において、「労務管理のシステム改修などに1社あたり数千万円かかることや、
残業時間の上限規制が20年4月から中小企業にも適用されるため、経営側が負担増に反発した。
このため厚労省はまず3年への延長で制度改正に道筋を付けたい考え。
賃金台帳などの保管期限が3年で、企業側も対応しやすいとみている。
5年に延ばすことも引き続き検討する。ただ労働側は早急に5年に延ばすよう求めており、議論の難航が続く可能性もある。」
と報道されていました。

賃金請求権の消滅時効が現行の2年のまま維持されることは無いでしょう。
また仮に3年となった場合も、将来的に5年に引き上げられる可能性は極めて高いと考えております。
企業としては未払い賃金が発生しないよう今以上に防止措置を講じる必要があります。