労働安全衛生法公開日:2023年8月10日

派遣労働者の労災隠しで書類送検されました

福岡県の大牟田労働基準監督署は、労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかったとして、労働者派遣業者と同社から派遣を受けていた会社及び各社の代表取締役の計2社、2人を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで福岡地検久留米支部に書類送検しました。
令和2年12月に派遣先の敷地内で派遣労働者がケガをする労働災害が発生しました。
派遣元は当日に同労働者から連絡を受けていましたが、労働者死傷病報告を提出したのはおよそ2年後でした。
大牟田労働基準監督署に対して「派遣先から提出しないよう指示されていた」と主張していたようです。
派遣先企業も労災発生の事実を知り得っていたにも関わらず、労働者死傷病報告を提出しなかった疑いが持たれています。
大牟田労働基準監督署によると「派遣先にも提出義務があると知らなかった」と主張し、派遣元への指示に関しては否定しているようです。
次のQ&Aにあるとおり、派遣労働者が派遣先で就業中に負傷した場合は、派遣元、派遣先の双方より労働者死傷病報告を所轄労基署へ提出することが義務付けられています。
労働者死傷病報告の不提出は「労災隠し」になります。

Q15.派遣労働者が派遣就業中に負傷した場合は、監督署への報告は、派遣元と派遣先のどちらが行うのですか?

A.派遣労働者が被災した場合は、派遣元と派遣先双方の事業者が、労働者死傷病報告をそれぞれ所轄の監督署に提出する必要があります。
なお、派遣先の事業者は、労働者死傷病報告書を出したときは、その写しを派遣元の事業者に送付しなければなりません。

Q15.派遣労働者が派遣就業中に負傷した場合は、監督署への報告は、派遣元と派遣先のどちらが行うのですか?(東京労働局)