その他 更新日:2024年5月13日

勤続年数の数え方(4月1日入社の社員の勤続3年後は、3年後の3月31日なのかそれとも4月1日なのか)

退職金規程に勤続3年以上に支給する、勤続満3年以上に支給する旨が規定されていることがあります。

例えば、2020年4月1日入社の場合の「勤続3年」とは、2023年3月31日でしょうか、それとも2023年4月1日でしょうか。
退職金の算出における勤続年数は、社内規則に特に定めがない場合は、民法の「期間の計算」(第6章 第138条から第143条)により算出されます。
  • ※以下の説明は社内規則に定めがない場合の解釈です。
  • ※社内規則に定めがある場合は社内規則に則り勤続年数を算定します。
以下、民法による期間の算定の解釈について解説致します。

1.起算日について

民法第140条に「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」と規定されています。

雇用契約は、あらかじめ内定通知を出すことから、入社日の午前0時より始まると解釈できるので、期間の初日は算入することとなります。
民法でなぜ期間の初日は起算しないことが原則であるのかについて、イメージしやすいよう勤続年数以外の例を挙げて説明します。
「請求があった日から3日」という場合、3日の起算日は「請求があった日の次の日」となり、通知を受けた側が不利にならないように、初日を不算入としていると考えられます。

2.満了日について

民法第141条に「前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。」と規定されています。

これは、民法141条は日、週、月又は年によって期間を定めたときの満了時点は、満了日の24時となることを定めた規定です。
たとえば、3月31日が満了日となる場合、期間計算の満了時点は同31日午後12時(深夜24時)ということになります。
  • ※ポイントとして満了時点は4月1日午前0時ではなく、その前日の31日午後12時(深夜24時)である点です。この解釈を誤ると1日ずれてしまいます。

3.暦による期間の計算

民法第143条に

1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

と規定されています。

これは、週、月又は年によって期間を定めた場合、期間の計算方法は暦に従って計算し、期間計算が週、月又は年の途中から行われる場合の満了日は、起算日に応当する日の前日に満了することを規定したものです。
例えば、3月30日を起算日として1ヵ月を計算する場合、期間は暦に従って計算しますので、4月30日(暦の1ヵ月応当日)の前日である4月29日が満了日となります。(第2項により算出)
ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了します。
例えば、8月31日を起算日として1ヵ月と定めた場合、1ヵ月応当日となる9月31日が存在しないので、その月の末日である9月30日が満了日となります。(第2項ただし書きにより算出)

上記民法の解釈より、2020年4月1日入社、2023年3月31日退職の社員は「勤続3年」に該当します。

また、上記民法第143条の解釈において「勤続○年」をカウントする場合の終期は「満了した日」になりますので、2020年4月1日入社、2023年3月31日退職の社員であっても「勤続満3年」に該当します。
結果、「満」をつけてもつけなくても解釈は変わらないということとになります。
  • ※勤年数の算定について社内規則に定めがある場合は社内規則が優先されますのでご注意下さい