育児介護休業公開日:2022年7月25日

【深堀り】2022年10月改正育児介護休業法への対応

改正育児介護休業法が、2022年4月、2022年10月、2023年4月(従業員数1,000人超の企業のみ)の3段階で施行されます。なお、2022年4月改正及び2022年10月改正は中小企業を含めた全ての企業が適用対象になります。
【PDF】育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和4年4月1日から3段階で施行(厚生労働省)
2022年10月改正は2022年4月改正に比べると、「産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」、「育児休業の分割取得」など大きな改正があり、規程改定等を含めて対応すべき事項が多くあります。
2022年10月改正後は、自己の選択で育児と仕事を両立することができる制度が整いつつあり、少子化が進み生産年齢人口が減少し続けている我が国にとっては非常に好ましいことではありますが、制度を整え運用する義務がある企業側の労務管理の難題としては、育児休業関連の制度がより一層複雑になり、規程改定の対応を含め運用が極めて煩雑になることが考えられます。
そこで本ページは、企業が2022年10月改正を出来るだけ円滑に対応できるよう支援することを目的とて作成しました。そして、改正内容の重要な内容はしっかりと記載しつつ出来るだけ簡素に説明することに努めました。

■2022年10月改正後の育児介護休業法関連の制度

2022年10月改正後の育児介護休業法関連の制度は次のリンクよりご確認頂けます。

【PDF】育児・介護休業法における制度の概要

■2022年10月育児介護休業法の改正内容

特に、下記1から5は育児介護休業規程の改定が必要になります

1.パパ休暇は2022年9月30日で廃止(パパママ育休プラスは継続)

【現行】
ママの出産後8週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、パパが育児休業を取得できるパパ休暇の適用有り
【改正後】
育児休業の分割と産後パパ育休創設に伴い、パパ休暇の必要が無くなったことから廃止

2.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

次の事項の検討が必要。

【改正後】

(1)就労可とするかの検討

検討内容は次のリンクよりご確認頂けます。

【PDF】産後パパ育休期間中の就業
【Word】労使協定(例)(厚生労働省)

  • ※Wordはクリックするとダウンロードが始まります
【改正後】

(2)申出期限を2週間以前から2週間超から1ヵ月以前に申出期限を延長すべきかの検討(延長する場合は労使協定の締結が必要)

検討内容は次のリンクよりご確認頂けます。

【PDF】産後パパ育休の期間2-申出期限-

3.育児休業の分割取得可

【現行】
原則分割取得不可
【改正後】
申出の回数は、特別の事情がない限り1人の子につき、1歳までの育児休業は2回(1歳6か月及び2歳までの育児休業は各1回)

4.1歳以降の育児休業開始日の柔軟化

【現行】
1歳到達日(1歳6か月到達日)の翌日を休業開始日とする必要があるため、交替できるのは1歳又は1歳6か月時点のみ。

両親交替で取得する場合は、1歳時点又は1歳6か月時点でしか交替できない

【改正後】
原則、本人又は配偶者の育児休業開始予定日は、子が1歳に達する日の翌日(又は子が1歳6ヵ月に達する日の翌日)であることに変わりはないが、改正後は配偶者が1歳6か月(又は2歳)までの育児休業をしている場合は、本人の育児休業開始日を配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前の日とすることができ、1歳(又は1歳6か月)から1歳6か月(又は2歳)までの間で両親が交替して育児休業することができるようになる

両親同時に取得すること、一部期間を重複して取得することも可能。

1歳6か月(又は2歳)までの育児休業をしたことがない場合が要件に追加

【PDF】改正後の働き方・休み方のイメージ(例)

5.1歳6か月、2歳までの育児休業においても、特別な事情がある場合は再取得可

【現行】再取得不可
【改正後】再取得可

6.本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対する産後パパ育休を含めた2022年10月改正法による育児休業制度の個別の周知・意向確認の措置

【現行】
2022年4月施行改正法による育児休業制度の個別の周知・意向確認の措置
【改正後】
2022年10月施行改正法による育児休業制度の個別の周知・意向確認の措置

7.2022年10月改正法による労使協定の締結

【現行】
2022年4月施行改正法による労使協定の締結
【改正後】
2022年4月施行改正法による労使協定の締結
【Word】労使協定(例)(厚生労働省)

  • ※Wordはクリックするとダウンロードが始まります

8.2022年10月改正法による育児休業申出等の書式の整備

【現行】
2022年4月施行改正法による育児休業申出等の書式
【改正後】
2022年4月施行改正法による育児休業申出等の書式
【Word】社内様式(例)(厚生労働省)

  • ※Wordはクリックするとダウンロードが始まります
≪留意事項≫
産後パパ育休の創設、育児休業が分割取得可能になったことから、夫婦で交代(又は重複)して育児休業(パパとママで育児休業)を取得するケースが増えることが想定され、パパママ育休プラス対象者が増える可能性があることから、パパママ育休プラスの制度を改めて押さえておく必要があります。

・パパママ育休プラスとは

両親ともに育児休業する場合で、次のいずれにも該当する場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、原則1歳に満たない子から原則1歳2か月に満たない子に延長される制度のこと。

  • (1)育児休業を取得しようとする労働者(以下、パパママ育休プラスの解説において「本人」)の配偶者が、子の1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)以前において育児休業(産後パパ育休含む)をしていること
  • (2)本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  • (3)本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業(産後パパ育休含む)の初日以降であること
    ※パパママ育休プラスにより、育児休業等を取得できる期間(産後パパ育休の期間を含む。出産した女性の場合は、出生日以後の産前・産後休業期間を含む。)は1年間
【PDF】育児休業の期間2-両親ともに育児休業をする場合(パパ・ママ育休プラス)の特例-

■育児休業に関連し2022年10月に改正される制度

以下9以降は、育児介護休業法ではなく、育児休業に関連し2022年10月に改正される内容です。

こちらについても、人事労務担当者及び責任者として押させておく必要があります。

9.出生時育児休業給付の創設(雇用保険法)

(1)支給要件

  • ・休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業している時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
  • ・休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)(※1) 以下であること。
  • ※1 28日間の休業を取得した場合の日数・時間。28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなる
(例)14日間の休業→ 最大5日(5日を超える場合は40時間)
10日間の休業→最大4日(4日を超える場合は28時間)
[10日×10/28=3.57(端数切り上げ)→4日]

(2)支給額

・休業開始時賃金日額(原則、育児休業開始前6か月間の賃金を180で除した額)×支給日数×67% (※2)
  • ※2 支給された日数は、育児休業給付の支給率67%の上限日数である180日に通算される

(3)申請期間

出生日(※3)の8週間後の翌日から起算して2か月後の月末まで

【例】出生日が令和4年10月15日→ 申請期限は令和5年2月末日まで
  • ※3 出産予定日前に子が出生した場合は、当該出産予定日2回まで分割して取得できるが、1回にまとめての申請であることが必要

【PDF】令和4年10月から育児休業給付制度が変わります(厚生労働省)

10.社保料免除要件の変更(健康保険法・厚生年金保険法)

(1)月額保険料

育児休業等の開始月については、同月の末日が育児休業等期間中である場合に加え、同月中に14日以上育児休業等を取得した場合にも免除される。

(2)賞与保険料

育児休業等を1月超(暦日で計算)取得した場合のみ免除される。
【PDF】育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます。(日本年金機構)