2024年12月2日より健康保険被保険者証の新規発行が終了します。
有効な健康保険資格を有する方がマイナ保険証を提示した際に、適切な自己負担分(3割分等)の支払いで必要な保険診療を受けられるようにするため次の対応が必要となります。
- ・保険者はデータ登録が行われないままマイナ保険証で受診することが無いよう迅速かつ正確なデータ登録を徹底する。
ここで疑問が生じます。
2月4日にマイナ保険証を提示し医療機関で保険診療を受けた場合、診療報酬(医療費)の請求の流れはどのようになされるのでしょうか?
上記のケースでは、保険者(協会けんぽや健保組合等)による審査、データ入力、オンライン資格確認システムへのデータ反映等にタイムラグが生じることが常ですが、仮にオンライン資格確認システムへのデータ反映等がなされたとすると、医療機関受診日の2月4日時点ではA社の資格喪失届は提出されず、B社の資格取得届は提出されていることから、受診日の2月4日時点ではB社の資格を取得していますが、A社の資格は喪失されていない状態となります(つまりA社とB社の資格が重複しているということ)。
この場合、マイナ保険証の提示を受けた医療機関では、資格取得日が古いA社の資格をマイナ保険証によりオンライン資格確認システムで確認し、本人は3割負担で保険診療を受けることができます。
(現行のオンライン資格確認システムでは、資格取得日が古いA社の資格しか確認できない為)
※12月2日以降の医療機関による資格確認方法については次のURLよりご確認頂けます。
【PDF】12月2日以降の医療機関・薬局の窓口における資格確認方法等について(厚生労働省)
医療機関では受診時(2月4日)に確認したA社の資格(A社の健保)でレセプト作成し、診療報酬支払基金へ残り7割の診療報酬(医療費)を請求します。
※これによりA社の資格(A社の健保)へ7割の診療報酬(医療費)の請求がなされます。
しかしながら、A社による資格喪失届が提出された2月5日以後は、受診日である2月4日時点ではA社の資格は喪失されB社のみ資格を有します(遡ってデータ反映する為)。
本来はB社の資格(B社の健保)でレセプト作成し、診療報酬支払基金へ残り7割の医療費を請求する必要がありますが、医療機関ではマイナ保険証の提示を受けた受診時(2月4日)に確認したA社の資格(A社の健保)でしかレセプトを作成することができません。
受診時に確認した診療報酬(医療費)の請求先(A社の健保)と、本来の請求先(B社の健保)が異なる場合はどのような処理がなされるのでしょうか。
次の厚生労働省P1の資料に
「窓口で正しい資格情報を得られなかった場合も、新しい資格情報に基づき、審査支払機関にて新保険者に請求先を決定するため返戻とならない」
とありますので、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金)でレセプトを新資格(B社の健保)に振替又は分割するので問題は生じません。
※12月2日以降の医療機関等の窓口における資格確認方法はP8をご覧ください
システム関連に強く、人事総務部門のトータルアウトソーシングのプランニングおよび受託を得意とする。さらに、人事労務系のコンサルティングに力を入れており、人事制度構築コンサルティングのほか、M&Aコンサルティング等、企業の経営企画部門、人事労務部門の双方の支援をしている。