雇用する従業員が増え、事業場(営業所や支店など場所ごと)の従業員数が10人以上になった場合は就業規則の作成届出義務が発生します。
事業場の従業員数が50名以上になると法律で義務付けられる事項が大幅に増加します。
ここでは事業場の従業員数が50人以上となった場合の事業主の義務について解説します。
1.産業医の選任
業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場は、専任すべき事由が発生してから14日以内に産業医を選任し、遅滞なく労働基準監督署へ報告する必要があります。
【PDF】事業場における安全衛生管理体制のあらまし(京都労働局)
※P10~P13参照
※常時使用する労働者数の算定はP15参照
2.衛生管理者の選任
業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場は、専任すべき事由が発生してから14日以内に衛生管理者を選任し、
なお、衛生管理者免許を有する者又は労働衛生コンサルタントの資格を有する者等から選任しなければなりません。
【PDF】事業場における安全衛生管理体制のあらまし(京都労働局)
※P2、P8、P9参照
※常時使用する労働者数の算定はP15参照
衛生管理者の受験についてはこちらをご覧ください(公益財団法人安全衛生技術試験協会)
労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント(厚生労働省)
建設業、運送業、製造業等については、別途、安全管理者を選任し、遅滞なく労働基準監督署へ報告する必要があります。
【PDF】事業場における安全衛生管理体制のあらまし(京都労働局)
※P2、P6、P7参照
※常時使用する労働者数の算定はP15参照
労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント(厚生労働省)
3.衛生委員会(業種によっては安全委員会)の設置
業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場は、衛生委員会を毎月1回以上開催しなければなりません。
【PDF】事業場における安全衛生管理体制のあらまし(京都労働局)
※P17~P18参照
※常時使用する労働者数の算定はP15参照
なお、労働安全衛生規則第23条により衛生委員会、安全委員会(安全衛生委員会)の議事録を作成し、従業員へ周知するとともに、3年間保存することが義務付けられています。
4.定期健康診断結果報告書の提出
業種に関わらず常時50人以上の労働者を使用する事業者(厚生労働省では営業所や支店などの場所単位と解釈)は、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署へ提出する必要があります。
定期健康診断結果報告書(様式第6号)の記入方法(京都労働局)
※常時50人以上の「常時使用する労働者」の算定はP2(Q&A 2)を参照
※常時1人以上の「常時使用する労働者」の算定はP2(Q&A 1)を参照
※労働安全衛生規則第2条第2項に
「事業者は(略)報告書を、当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。」
と規定されており、厚生労働省では事業者は所轄労基署に提出するのだから事業者は営業所や支店など場所単位で判定すると解釈
5.ストレスチェックの実施と報告書の提出
業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場は、ストレスチェックを毎年1回実施し、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を労働基準監督署へ提出する必要があります。
【PDF】ストレスチェックの実施義務と報告書の記入・提出について(厚生労働省)
※常時50人以上の「常時使用する労働者」の算定はP1を参照
6.休養室又は休養所の設置
業種にかかわらず常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上の労働者を使用する事業者(厚生労働省では営業所や支店などの場所単位と解釈)は、休養室又は休養所を男性用と女性用に区別して設ける必要があります。
【PDF】ご存知ですか?職場における労働衛生基準が変わりました(厚生労働省)
※P5(休養室・休養所について )をご覧ください
常時使用する労働者の数のカウント方法は安全衛生法等の原則どおりとなり次のURLよりご確認頂けます。
事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。(厚生労働省)
7.社会保険の適用拡大(健康保険・厚生年金保険)
2024年10月から従来の基準の被保険者数が51人以上の場合、短時間労働者(パートタイマー・アルバイト等)に社会保険が適用拡大され、短時間労働者に対して社会保険の資格を取得する必要があります。
社会保険が適用拡大される短時間労働者とは、次の全ての条件を満たす短時間労働者です。
- ・週の所定労働時間が20時間以上
- ・2ヵ月を超える雇用の見込がある
- ・学生ではない
- ・所定内賃金が月額8,800円以上
システム関連に強く、人事総務部門のトータルアウトソーシングのプランニングおよび受託を得意とする。さらに、人事労務系のコンサルティングに力を入れており、人事制度構築コンサルティングのほか、M&Aコンサルティング等、企業の経営企画部門、人事労務部門の双方の支援をしている。