育児介護休業公開日:2023年1月13日

【2025年4月】育児介護休業法・次世代育成支援対策推進法改正が改正されます

次のURLに記載のあるとおり、2025年4月に育児介護休業法等が改正されます。
育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正ポイントのご案内(厚生労働省)
育児・介護休業法について(厚生労働省)
2025年4月に改正される内容について次のとおり解説します。

1| 所定外労働の制限の対象範囲を小学校就学前の子を養育する労働者に拡大されます

■改正内容
【改正前】3歳に満たない子を養育する労働者は、請求により所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能。
【改正後】小学校就学前の子を養育する労働者は、請求により所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能。
■企業の対応
就業規則(育児介護休業等に関する規程など)の条文改定が必要です。

2| 子の看護休暇の対象となる子の範囲小学校3年生に拡大されるなど取得要件が緩和されます

■改正内容
【改正前】
(名称)
・子の看護休暇
(対象となる子の範囲)
・小学校就学の始期に達するまで
(取得事由)
・病気・けが
・予防接種・健康診断
(労使協定の締結により除外できる労働者)
・引き続き雇用された期間が6か月未満
・週の所定労働日数が2日以下
【改正後】
(名称)
・子の看護等休暇 → 「等」を追加
(対象となる子の範囲)
・小学校3年生修了まで → 「小学校就学の始期」から延長
(取得事由)
・病気・けが
・予防接種・健康診断
・感染症に伴う学級閉鎖等 → 追加
・入園(入学)式、卒園式 → 追加
(労使協定の締結により除外できる労働者)
・週の所定労働日数が2日以下

  • ※「引き続き雇用された期間が6か月未満」は撤廃
  • ■企業の対応
    就業規則(育児介護休業等に関する規程など)の条文改定、労使協定の再締結が必要です。

    3| 3歳に満たない子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークが追加されます

    ■改正内容
    3歳に満たない子を養育する労働者で、育児休業をしていいない者に対しては、短時間勤務措置を講ずる義務があり、労使協定により育児短時間勤務の対象外とした労働者に対して代替措置を講じる必要がありますが、現行の代替措置(育児休業に関する制度に準ずる措置、フレックスタイム制、時差出勤、保育施設の設置運営等)に加え、「在宅勤務等」が追加されます。
    ■企業の対応
    努力義務なので対応は不要ですが、対応をする場合は就業規則(育児介護休業等に関する規程など)の条文改定が必要です。

    4| 3歳から小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークが追加されます

    ■改正内容
    小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者に対して、育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置又はフレックスタイム制等の措置に準じて必要な措置を講ずる努力義務がありますが、この努力義務に「在宅勤務等」が追加されます。
    ■企業の対応
    努力義務なので対応は不要ですが、対応をする場合は就業規則(育児介護休業等に関する規程など)の条文改定が必要です。

    5| 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みが廃止されます

    詳細は今後公表されます。

    6| 介護休業や両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことが義務付けられます

    ■改正内容
    介護を必要とする状況に至ったことを労働者が申し出たときに、介護休業に関する制度・介護に関する両立支援制度等について個別に周知するとともに介護休業に関する制度・介護に関する両立支援制度等の利用について意向確認を行うことが事業主に義務付けられます。
    ■企業の対応
    2022年4月より導入された「本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主から個別に育児休業制度等の周知及び休業の取得意向の確認義務」と同様の仕組みが介護についても導入されます。
    個別周知する内容は次のとおりです。

    • (1)介護休業に関する制度
    • (2)介護両立支援制度等
      ・介護休暇に関する制度
      ・所定外労働の制限に関する制度
      ・時間外労働の制限に関する制度
      ・深夜業の制限に関する制度
      ・介護のための所定労働時間の短縮等の措置
    • (3)介護休業および介護両立支援制度等の申出先
    • (4)介護休業給付に関すること
    介護休業や両立支援制度等の個別周知や意向確認の方法は「本人又は配偶者の妊娠・出産等を申し出た」場合の規定が準用されます。
    具体的には次のいずれかの方法により個別周知や意向確認を行わなければなりません。
    (1)面談
    (2)書面交付
    (3)FAX
    (4)電子メール等
    注:(1)はオンライン面談も可能。(3)(4)は労働者が希望した場合のみ。

    個別周知、意向確認をする為の文書等は、今後厚生労働省で公開されるパンフレットや文書案の雛形等を確認し、具体的な対応を決定する必要があります。

    7| 介護に直面する前の早い段階(40歳)での両立支援制度等に関する情報提供が義務付けられます

    ■改正内容
    「介護休業や両立支援制度等について個別の周知・意向確認」とは別に、介護に直面する前の早い段階(40歳)での両立支援制度等に関する情報提供が義務付けられます。
    ■企業の対応
    次のいずれかに該当した場合、両立支援制度等に関する情報提供が義務付けられます。

    • (1)40歳に達した日の属する年度の初日から末日までの期間
      (2)40歳に達した日の翌日から起算して1年間
      個別周知する内容は次のとおりです。

      • (1)介護休業に関する制度
      • (2)介護両立支援制度等
        ・介護休暇に関する制度
        ・所定外労働の制限に関する制度
        ・時間外労働の制限に関する制度
        ・深夜業の制限に関する制度
        ・介護のための所定労働時間の短縮等の措置
      • (3)介護休業および介護両立支援制度等の申出先
      • (4)介護休業給付に関すること

      両立支援制度等に関する情報提供は次のいずれかの方法により行わなければなりません。

      (1)面談
      (2)書面交付
      (3)FAX
      (4)電子メール等
      注:(1)はオンライン面談も可能。(3)(4)は労働者の希望を条件としていない。

      両立支援制度等に関する情報提供の為の文書等は、今後厚生労働省で公開されるパンフレットや文書案の雛形等を確認し、具体的な対応を決定する必要があります。

    8| 仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備が義務付けられます

    ■改正内容
    介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにする為の雇用環境整備の措置を講ずることが義務付けられます。
    ■企業の対応
    2022年4月より導入された「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」と同様の仕組みが介護についても導入されます。
    介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにする為に、以下のいずれかの雇用環境整備の措置を講ずることが義務付けられます。

    • (1)介護休業及び介護両立支援制度等にかかる研修の実施
    • (2)介護休業及び介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)
    • (3)介護休業の取得及び介護両立支援制度等の利用に関する事例の収集及び当該事例の提供
    • (4)介護休業に関する制度及び介護両立支援制度等並びに介護休業の取得及び介護両立支援制度等の利用の促進に関する方針の周知

    上記(2)を選択するのであれば、就業規則(育児介護休業等に関する規程など)に規定することが考えられます。

    9| 要介護状態の家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークが追加されます

     

    詳細は今後公表されます。

    概要は次のURLよりご確認頂けます。
    【PDF】育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正ポイントのご案内(厚生労働省)

    育児・介護休業法について(厚生労働省)

    10| 育児休業の取得状況の公表義務が労働者数300人超(現行1,000人超)の事業主に拡大されます

    従業員数300人超の企業に、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。
    (現行では、従業員数1,000人超の企業に公表が義務付けられています。)

    公表内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における「育児休業等の取得割合」または「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかの割合を指します。

    11| 従業員数100人超の企業は次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定が義務付けられます

    従業員数100人超の企業は、一般事業主行動計画策定時に次の事項が義務付けられます。(従業員数100人以下の企業は、努力義務の対象です。)

    • ・計画策定時の育児休業取得状況や労働時間の状況把握等(PDCAサイクルの実施)
    • ・育児休業取得状況や労働時間の状況に関する数値目標の設定
  • ※一般事業主行動計画の内容を変更しようとする場合も同様に状況把握、数値目標の設定を行う必要があります。
  • ※施行日以降に開始(又は内容変更)する行動計画から義務の対象となります。
  • 詳細は次のURLよりご確認頂けます。
    【PDF】育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正ポイントのご案内(厚生労働省)

    育児・介護休業法について(厚生労働省)