労働基準法公開日:2023年1月10日

厚生労働省より賃金デジタル払いに関する改正省令が公布・同意書様式例が公表されました

厚生労働省は2022年11月28日、賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」を公布しました。
給与の振込先が拡大されるのは25年ぶりで、企業は、労使協定を締結したうえで労働者から同意を得れば、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払い(賃金のデジタル払い)ができるようになります。
厚生労働省は同日、関係通達も発出し、労働者への説明事項などを記載した同意書の様式例も提示しました。
施行は2023年4月1日で、同日から資金移動業者の指定申請を受け付けます。

指定資金移動業者の破綻時には保証機関により労働者に口座残高の弁済が行われる

改正省令では資金移動業者の指定要件について厳しく定められており、賃金デジタル支払いはこれらの要件に係る措置が講じられた資金移動業者の口座に限り認められることとなっています。
口座残高の上限を100万円とし、口座残高が100万円を超えた場合、その日のうちに100万円以下にする仕組みが必要です。
また、指定資金移動業者の破綻時には、指定資金移動業者と保証委託契約等を結んだ保証機関により、労働者と保証機関との保証契約等に基づき、労働者に口座残高の弁済が行われることとなっているため、破綻したときの全額返済に向け、保証機関と契約しておく必要もあります。

労働者の同意を得る際の留意事項

企業が賃金のデジタル払いを実施するには、労働者の同意が必要です。

同意を得る際は、資金移動を希望する賃金の範囲・金額や支払い開始希望時期、賃金移動業者の破綻時に弁済を受けるための代替銀行口座などを確認する必要があります。その際に用いられる様式例を通達の別紙で提示しています。
【PDF】労働基準法施行規則の一部を改正する省令(厚生労働省)
【PDF】労働基準法施行規則の一部を改正する省令の公布について(厚生労働省)
【PDF】賃金の口座振込み等について(厚生労働省)
【PDF】資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書(厚生労働省)
上記「賃金の口座振込み等について」においては、次の内容等とともに、労働者への説明を行う場合に用いる同意書の様式例も示されています。
    (1)労働者の同意書に記載すべき事項

  • ・口座振込み等を希望する賃金の範囲およびその金額
  • ・労働者が指定する金融機関店舗名ならびに預金または貯金の種類および口座番号
     労働者が指定する証券会社店舗名および証券総合口座の口座番号
     または労働者が指定する指定資金移動業者名、資金移動サービスの名称
     指定資金移動業者口座の口座番号(アカウントID)
     および名義人(その他、指定資金移動業者口座を特定するために必要な情報があればその事項(例:労働者の電話番号等))
  • ・開始希望時期
  • ・代替口座として指定する金融機関店舗名、預金もしくは貯金の種類および口座番号
    または代替口座として指定する証券会社店舗名および証券総合口座の口座番号
    (2)労使協定に記載すべき事項

  • ・口座振込み等の対象となる労働者の範囲
  • ・口座振込み等の対象となる賃金の範囲およびその金額
  • ・取扱金融機関、取扱証券会社および取扱指定資金移動業者の範囲
  • ・口座振込み等の実施開始時期
    (3)給与明細に記載すべき事項

  • ・基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
  • ・源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
  • ・口座振込み等を行った金額