社労士ができるコンサルタント業務

社労士の業務の概要

企業の三大経営資源はヒト、モノ、カネといわれています(情報を追加したり、モノを細かく分類したりする考え方もありますが、説明を単純化するため三大要素で説明します)。

社労士はその中でもヒトに関する専門家であり、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的として、業務を行う国家資格者です。
具体的には社労士は、50種類以上にのぼる労働・社会保険諸法令に基づいて、行政機関に提出する提出書類や申請書等を依頼者に代わって作成する事務及び提出代行または事務代理(※)をはじめ、備え付け帳簿、書類等の作成などの仕事を行っています。
また、社労士は企業の労務管理全般の相談業務を行うなど、労務管理のコンサルタントとしても活躍しています。
  • (※)「代行」とは、社労士の職印を捺印して依頼主に代わって申請書等の提出手続きを行うことをいい、また「代理」とは、関係諸法令に定められた事務について、委任状によって依頼者に代わって申請等を行う行為をいいます。

社労士の独占業務

社労士には他の専門家が行うことのできない独占業務があります。これは社会保険労務士法に定められており主に以下の2つに分類されます。

なお、社労士以外の者が独占業務を行うと社会保険労務士法違反になります。
・1号業務(社会保険労務士法第2条第1号~第1号の6関係)

  • (1)労働社会保険諸法令(労働基準法・雇用保険法・労働者災害補償保険法・労働保険徴収法・健康保険法・厚生年金保険法・国民年金法など)に基づく申請書等の作成・提出代行・事務代理
  • (2)労働社会保険諸法令に基づく申請等について、またはその申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対して行う主張若しくは陳述についての代理
  • (3)個別労働関係紛争のあっせん・調停の手続きについて、当事者を代理(特定社会保険労務士に限る)
・2号業務(社会保険労務士法第2条第2号関係)

  • 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(就業規則、労働者名簿、賃金台帳、労使協定など)の作成

社労士が行っているコンサルティング

社労士が行う業務は独占業務だけではありません。事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項についての相談・指導も行います。

これらは3号業務(社会保険労務士法第2条第3号関係)といわれている業務であり、コンサルティング業務に該当します。
このコンサルティング業務が個々の社労士の強みを発揮でき、他の社労士と差別化をできるポイントになります。
その範囲は多岐に渡っており、具体的には、採用支援、働き方改革の推進、健康経営の推進、同一労働同一賃金の実現、ハラスメント防止、外国人労働者の雇用支援、高齢者の雇用支援、各種社員教育、賃金制度・人事評価制度の構築、人事労務分野のM&A支援、IPO支援、SDGS支援、人的資本経営支援などが挙げられます。

社労士が人事評価制度・賃金制度コンサルティングを行うメリット

前述のとおり、社労士が行っているコンサルティングは多岐に渡っています。

開業する予定の方や開業後に他の社労士事務所との差別化を図りたい方がコンサルティング業務を実施する場合、どれを選択すると最も効果があるのでしょうか。
社労士が行うコンサルティング業務は大変意義深いものばかりなので優劣をつけることはできませんが、ここでは「なかの経営労務事務所」が推進している「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を行う社労士のメリットについて解説します。
社労士が「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を行うことには社労士側にも次のようなメリットがあります。

1.信頼性の確立

「人事評価制度・賃金制度」は企業の経営理念や経営目標と深く結びついています。

経営理念や経営目標を実現する為の主要なツールが「人事評価制度・賃金制度」である為です。
「人事評価制度・賃金制度」を構築するにあたり、経営理念や経営目標を社労士自ら社長や他の経営陣に確認する必要があり、これは社長をはじめとした経営陣と接点を持つことに繋がります。
「人事評価制度・賃金制度」を構築する為には社労士自身の日々の努力が欠かせませんが、無事に構築が終われば感謝されることは間違いありません。
「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を継続することで、人事労務分野の専門家としての地位を確立することができ、クライアントからの信頼性が高まります。
これらを実現すると、クライアントから次のコンサルティング等の受注に繋がったり、既存クライアントから他のクライアントの紹介を受けたりする可能性が大幅に広がります。

2.クライアントとの長期的な関係構築

「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」は一度きりではなく、評価者研修や被評価者研修、人事評価制度・賃金制度の運用支援など他のコンサルティングと比較すると継続的なサポートが求められることが多いと考えます。

「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を実施することでクライアントとの長期的な関係を築くことができ、安定した収入源を確保することができます。

3.多様な業務経験の蓄積

様々な企業の「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を実施することで、多様な業界や企業規模に対応できる経験を積むことができます。

これにより社労士としてのスキルセットが広がり、様々な企業にも応用できる知識と経験を得ることができます。

4.経営の安定性の向上

「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」は、通常の手続き代行業務に比べて高い報酬が期待できるため、収益の多様化と増加が見込めます。これにより、経営の安定性が向上します。

5.社会的貢献とやりがい

企業の人事評価制度・賃金制度の構築を通じて、働く人々の職場環境や待遇の向上に貢献できるため、社会的な意義を感じることができます。

これにより、仕事に対するやりがいも増します。また、社会保険手続きや給与計算はできて当たり前なので日々間違いなく業務遂行することで感謝されることはほとんどありません。
「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を無事終了することができれば、経営陣のみならず社員から感謝されますので社労士自身のモチベーションアップにつながります。
社労士が「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」を行うことで、上記のような多くのメリットを享受することができます。
「人事評価制度・賃金制度コンサルティング」をこれから行うことを検討している方は「人事コンサルタント養成講座」の受講を是非ご検討下さい。