社労士が人事コンサルタントになることのメリット

社労士(社会保険労務士)は労働関係諸法令や社会保険関係諸法令の専門知識を有する労務管理の専門家です。

顧問社労士にはこれらの知識を活かして顧問先企業の労務管理を最適化する手助けをする基本的役割があり、この基本的役割は関連する法令解釈をベースに果たすことが一般的です。
一方、人事評価制度・賃金制度構築に関する知識は法令に裏付けが無いことが多い上、社労士試験の対象外である為、多くの社労士は人事評価制度・賃金制度構築に関する知識や経験を持ち合わせていない状況があります。
このような状況下で、社労士がその基本的役割に加えて、人事評価制度・賃金制度構築に関する知識やノウハウを得て人事コンサルタントになることができれば、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下に、社労士が人事コンサルタントになることの4つの主要なメリットを紹介します。

1.取り扱い業務の間口が広がることによる業務の受注機会の増加

社労士が人事評価制度・賃金制度の構築を手掛ける人事コンサルタントとしての知識やノウハウを身につけることで、取り扱い業務の幅が大きく広がります。

従来の労務管理や社会保険手続きに加えて、人事評価制度や賃金制度の構築、評価者研修、被評価者研修、人事評価制度運用のフォローアップ、昇給・ベースアップ・賞与決定の助言など、より高度なコンサルティング業務を提供できるようになります。
これにより顧問先企業からの業務の受注機会が増加し、社労士事務所の成長が期待できます。

2.差別化に伴う同業他社との価格競争の回避

人事評価制度・賃金制度構築に関する知識や経験を持ち合わせていない社労士が多い状況下では、人事評価制度・賃金制度の構築を手掛ける人事コンサルタントとしての知識、ノウハウや経験を持つ社労士は、他の社労士との差別化を図ることができます。

これは、顧問先企業に対して高付加価値のサービスを提供することが可能であり、価格競争に巻き込まれる可能性を大幅に減退させることを意味します。
さらに、差別化されたサービスを提供することで、顧問先企業からの信頼を得やすくなり長期的なビジネス関係を築くことができます。

3,顧問先企業との関係強化

社労士が人事評価制度・賃金制度の構築を手掛ける人事コンサルタントとして活動することで、顧問先企業との関係が強化されます。

人事評価制度や賃金制度の構築コンサルティングを進めるにあたり、ほとんどの場合で役員決裁等を得る為のプレゼンテーションをする機会が与えられます。
また、代表取締役や取締役が人事評価制度・賃金制度の構築・改定プロジェクトメンバーに加われば定期的なコミュニケーションの接点が生まれます。
人事コンサルティングを通じた役員クラスとのコミュニケーションを通じて顧問先企業の経営課題に深く関与することができます。
これにより、顧問先企業との信頼関係が強まり、顧問契約の継続や新たな契約の獲得が期待できます。
また、社労士事務所を長く経営するとM&A(合併・会社分割・事業譲渡)において顧問先企業が売却等をされることがあり、このような場合は基本的に当該売却等に伴って顧問契約等を解除される可能性が多分にあります。
しかしながら、M&A(合併・会社分割・事業譲渡)は人事評価制度・賃金制度の統合等の問題が生じることがある為、顧問先企業との信頼関係を強化できていれば、人事評価制度・賃金制度の構築を手掛ける人事コンサルタントとしての知識、ノウハウや経験を活かして買収側にアドバイスをすることで、顧問先企業が売却される側であっても、買収側で継続契約となる可能性が高まります。

4.成長の実感と貢献への喜び

社労士が人事コンサルタントとしての経験を積むことで、自身のキャリアアップと専門性の向上が期待できます。コンサルティング業務を通じて、さまざまな企業の人事評価制度や賃金制度に関与することで、実務経験を積み重ねることができます。

また、企業の経営に関わる領域まで踏み込むことで、より高度な専門知識とスキルを身につけることができます。これにより、社労士としての市場価値が高まり、将来的なキャリアの選択肢が広がります。
これらを通じて社労士本人が自身成長を実感し、社会貢献することの喜びを感じることができます。

このように、社労士が人事コンサルタントになることは、企業にとっても社労士自身にとっても多くのメリットがあります。企業の成長と発展を支えるために、社労士の専門知識と経験を活かした人事コンサルティングがますます重要となるでしょう。

なかの経営労務事務所では、人事コンサルタント養成講座(セミナー・研修)を定期的に開催しています。社労士が人事コンサルタントになることのメリットを享受する為に、人事コンサルタント養成講座(セミナー・研修)への参加を是非ご検討ください。