労働安全衛生法公開日:2025年2月19日

事業規模を問わずストレスチェックが義務化される方向です

現在、50人以上の事業場においてはストレスチェックの実施が義務化されており、50人以上の事業場においてはストレスチェックは努力義務に留まっています。この努力義務が義務化される方向性を示す建議がなされました。
それが2025年1月17日付で厚生労働省労働政策審議会の建議「今後の労働安全衛生対策について」です。
建議の内容は次のとおりです。
  • 1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
  • 2.職場のメンタルヘルス対策の推進
  • 3.化学物質による健康障害防止対策等の推進
  • 4.機械等による労働災害防止の促進等
  • 5.高年齢労働者の労働災害防止の推進
  • 6.一般健康診断の検査項目等の検討
  • 7.治療と仕事の両立支援対策の推進
注目されるのは「2.職場のメンタルヘルス対策の推進」です。
以下主要な内容を抜粋してご紹介いたします。
事業場におけるメンタルヘルス対策については、メンタルヘルス不調の未然防止である一次予防の強化等の観点から、平成27年12月にストレスチェック制度が導入されたが、一方で、メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合は、「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、労働者数50人以上の事業場で91.3%となっているものの(略)30~49人の事業場で 71.8%、10~29人の事業場で 56.6%と未だ取組は低調である。

ストレスチェック制度は、医師の面接指導の実施と相まって労働者からもその効果を高く評価されており、
職場環境改善につながった場合には労働者の心理的ストレス反応の改善等がみられるなど一定の成果を挙げている。

ストレスチェック及び医師の面接指導の実施により自身のストレスの状況への気づきを得る機会は全ての労働者に与えられることが望ましく、個々の労働者のストレスを低減させること、職場におけるストレスの要因そのものを低減させることなど、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することの重要性は事業場規模に関わらないものである。
また、ストレスチェックの実施については、制度創設当時、労働者のプライバシー保護等の懸念により、50人未満の事業場においては当分の間努力義務とされたが、現時点において、労働者のプライバシー保護については、外部機関の活用等により、対応可能な環境は一定程度整備されている。
こうした状況を踏まえ、小規模事業場を含めた全ての事業場におけるメンタルヘルス対策を推進するため、以下の対応を行うことが適当である。
    (1)ストレスチェックの実施および高ストレス者に対する面接指導の実施
  • ・事業場規模にかかわらずストレスチェックの実施を義務とすることが適当
  • ・原則として、外部委託を推奨することが適当
  • ・労働基準監督署へのストレスチェック実施結果の報告義務は、50人未満の事業場には課さないことが適当
  • ・施行までの十分な準備期間を確保することが適当
  • ・国においては、50人未満の事業場に即した、実施体制・実施方法についてのマニュアルを整備するなど、十分な支援策を講じるべき
    (2)集団分析の実施および職場環境の改善
  • ・事業場規模にかかわらずこれを義務とすることは時期尚早であり、引き続きの検討課題とすることが適当
  • ・実施方法については、個人を特定できない方法で実施する努力義務規定とすることが適当

今後は、建議の内容を踏まえて法律案要綱が作成され、労働政策審議会への諮問なされる予定です。

詳細は次のURLよりご確認頂けます。
労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策について」を公表します(厚生労働省)
労働政策審議会 (安全衛生分科会)(厚生労働省)