スタートアップ・中小企業にぴったりの人事制度。
『こぢんまり人事制度』とは?

なかの経営労務事務所が主催する『人事コンサルタント養成講座』は、受講者に対して、実践的な知識やスキルを習得して頂く講座です。

例えば、このような方達を対象としています。

  • ・社労士の方など、顧問先から人事制度に関する相談があり、現時点で知識や経験は無いがその相談に対応したい(期待に応えたい)と考えている方
  • ・書籍を読んだりセミナーで学んだりした内容を自分なりに(良いところどりをして)整理し人事コンサルティングを実施したが思い通りに進めることができず体系だった人事制度を改めて学びたい方
  • ・人事コンサルタントとしての第一歩を踏み出す方など、これから人事コンサルタントとして活躍したいと考えている方
  • ・新たに人事制度の構築や、現行制度のブラッシュアップなどをお考えの、スタートアップや中小企業の経営者や人事担当の方
『人事コンサルタント養成講座』で学ぶ中核となる理論は『こぢんまり人事制度』です。
本記事では『こぢんまり人事制度』についてご紹介することで、『人事コンサルタント養成講座』ではどのような人事制度を学ぶのか等について皆さんに知って頂き、興味関心を持って頂くことを目的としています。

1.『こぢんまり人事制度』とは?

『こぢんまり人事制度』は社員20人~30人の会社をメインターゲットとした人事制度です。そのような会社が簡単に人事制度を構築できるようにするためにどうしたらよいかを示しています。

さらに、会社の成長に従って人事評価制度を増築することにより、社員数が増加しても運用が可能な万能な人事制度であることが特徴です
バックにある人事制度の基本理念は「役割」「能力」「成果」という人事の基本ファクターの特質を生かしバランスさせるというものです。
何が「こぢんまり」かというと(1)構築する人事制度が「こぢんまり」(2)人事制度構築作業が「こぢんまり」なのです。

2.こぢんまり人事制度が生まれた背景

『こぢんまり人事制度』は私の師である河合克彦先生が書籍『小さな会社のための“こぢんまり”人事・賃金制度のつくり方』(日本法令)において提唱された人事制度です(※本書籍は私(中野 剛)が編集協力をしました)。

河合克彦先生は、人事制度の三大要素といわれている「役割・能力・成果」をバランスさせた「トライアングル人事システム」を提唱し、数多くのコンサルティング先の企業において導入を進めてこられました。
理論的で体系だった「トライアングル人事システム」は、人事部門が存在し人事制度を運用する担当者を配置できる企業であれば、構築及び継続的な運用等が可能です。
河合克彦先生は中小企業の労務管理に関わる数多くの社労士と接する中で、中小企業において人事制度を導入する重要性を改めてご認識されたました。
そうした背景をもとに、人事部門が存在せず人事制度を運用する担当者を配置することが難しい中小企業であっても、構築、運用等がしやすい人事制度として「トライアングル人事システム」を大幅に簡素化した『こぢんまり人事制度』が生み出されました。

3.こじんまり人事制度の特徴とは?

『こぢんまり人事制度』は「こぢんまり」と称するとおり、概ね社員数20人~30人の会社をメインターゲットとした人事制度です。

そのような会社は人事部門が弱体で、人事制度が十分整備されておらず、人事制度を構築しようにもできず、どうしたらよいか分からない状態になっていることが多く見受けられます。
『こぢんまり人事制度』はそのような会社であっても、簡単に人事制度を構築・導入できるように設計されています。
また、会社の成長に従って個人目標評価制度、部門業績評価制度を採り入れる等、「トライアングル人事システム」の要素を組み込んで増築することが容易に可能です。
したがって、『こぢんまり人事制度』は、少人数の会社のみならず、その後人数が増加し100人以上の会社になったとしても運用が可能な万能な人事制度であることが特徴です。

4.こじんまり人事制度の中核的な考え方

従来の人事制度は、「役割」「能力」「成果」という人事ファクターの一つを強調して構築されていることが数多くありました。

「役割」を強調したのが「役割主義」、「能力」を強調したのが「能力主義」、「成果」を強調したのが「成果主義」です。
「役割主義」、「能力主義」、「成果主義」は、それぞれ良いところもあるのですが、弱点や問題点もあり、時代に合わなくなっている面も出てきていると思います。
『こぢんまり人事制度』は、「役割主義」、「能力主義」、「成果主義」の良いところどりをし、弱点、問題点をできるだけ克服した人事制度であることが特徴です。
『こぢんまり人事制度』には、人事の基本ファクターである「役割」「能力」「成果」の特質を生かし、バランスさせるという中核的な考え方があります。
その為、「役割とは何か」、「能力とは何か」、「成果とは何か」をあらかじめ明確に定義しています。
「役割」、「能力」を明確にするツールは「等級と職掌・職位の関係表」、「役割能力要件表」の2つです。
「成果」は「やるべきことをどれだけやったか」と定義しています。また、「成果」と「業績」は同義語ととらえていることも特徴です。
次に、企業、部門、個人の成果(業績)の関係で、成果(業績)を考えてみます。企業のやるべきことは「経営目標」です。
企業規模が大きくなるとその企業の中には部門が存在するようになります。
必要性があるから部門が設置されています。
部門のやるべきことは「部門の目的」です。そして部門の中には個人が所属しています。個人はそれぞれ役割を担っています。
「成果」は「やるべきことをどれだけやったか」と定義していますので、企業のやるべきことは「経営目標」ですから「企業の成果(業績)」は「経営目標」をどれだけやったか、「部門の成果(業績)」は「部門の目的」をどれだけやったか、「個人の成果(業績)」は「個人に期待される役割」をどれだけやったかということになります。
『こぢんまり人事制度』は中小企業向けに「こぢんまり」とした人事制度ではありますが、「役割」「能力」「成果」がしっかり定義され、簡素ではありますが骨太の人事制度であることが特徴です。

5.『こぢんまり』の内容

『こぢんまり人事制度』の内容は極めて簡素ですが、必要なところはキチンと揃えており、手抜きはしていません。『こぢんまり人事制度』は「こぢんまり」という名前のとおり「こぢんまり」しています。それでは、何が「こぢんまり」しているのかというと、「こぢんまり」の内容は次の事項が挙げられます。

  • (1)構築する人事制度がこぢんまり
  • (2)人事制度構築作業がこぢんまり
以下一つひとつ解説していきます。

(1)構築する人事制度がこぢんまり

人事制度の内容そのものが次のように「こぢんまり」しています。

  • ① 必要最小限の道具立て
  • ② 役割能力要件表は全職掌共通のみ
  • ③ 評価制度は人事評価だけ
  • ④ 評価期間は1年間

① 必要最小限の道具立て

『こぢんまり人事制度』の道具立ては「経営理念」、「役割能力要件表」、「人事評価」、「昇給」、「賞与」、「昇格」です。人事制度としては絶対必要でかつ最小限の道具立てです。

これ以上削げば人事制度として機能しないもののみを残しています。

② 役割能力要件表は全職掌共通のみ

『こぢんまり人事制度』では、社員の役割や能力のレベルによってステージ(等級)に区分し、その区分ごとにどのような役割が期待され、どのような能力を保有する必要があるのかを明確にする為に、役割能力要件表を作成し、人事制度の基本に置いています。

役割能力要件表には、どのような部門でも、どのような仕事でも、その会社の社員ならば共通して行うことが必要な行動、持たなければならない能力を記載しています。
これが全職掌共通の役割能力要件と言われるものです。
通常は全職掌共通と職掌固有の2つの軸で構成することが基本ではありますが、『こぢんまり人事制度』は内容を簡素にするために全職掌共通のみにしています。

③ 評価制度は人事評価だけ

多くの企業では業績評価と能力評価を分けて行っています。業績と能力はその特質が違い、処遇への反映も異なるからです。

しかしながら、精緻に評価しようとすると、評価制度が複雑になります。『こぢんまり人事制度』では簡略化を図り業績と能力を同じ時期、同じシートで評価することにしました。
業績と能力の評価を合わせて1つの評価制度にしたので、名前を「人事評価」としています。

④ 評価期間は1年間

通常、賞与は半年サイクル、昇給・昇格は1年サイクルですので、人事評価も、賞与に反映させる業績評価は半年サイクル、昇給・賞与に反映させる能力評価は1年サイクルとする会社が多い印象を持っています。

『こぢんまり人事制度』では業績評価と能力評価をまとめて人事評価としたこと、さらに評価者の負担を考慮し、評価期間は1年としました。
当然、評価期間を半年とすることも可能です。

(2)人事制度構築作業がこぢんまり

人事制度構築作業は次のように少人数でかつ短い期間で、構築作業がこぢんまりしています。

① 人事制度構築プロジェクトの人数

『こぢんまり人事制度』の構築はプロジェクトチームを組成して行います。構築プロジェクトチームは経営トップ、人事部門責任者(経営トップが兼ねる場合は経営トップのみ)、コンサルタントの3人が基本です。

必要最小限の人数で「こぢんまり」行います。経営トップの役割は、構築する人事制度の基本的方向付けと、具体的内容を決定することが必要なときに決定することです。
人事部門責任者の役割は、構築された人事制度を運用すること、構築プロジェクトの事務局となることです。
コンサルタントの役割は、構築プロジェクトの推進役、調整役、事務方役です。人事部門責任者を経営トップが兼ねる場合は、事務局の役割をコンサルタントが担う場合があります。
このように、コンサルタントが実質的に作業をして、スケジュールどおり進行し完了させます。

② 人事制度構築プロジェクトの期間

人事制度構築は5ヵ月程度を予定しており、人事制度運用に関わる資料の準備、説明会を含めて1ヵ月、実施は7ヵ月後からを予定しています。

短期間で「こぢんまり」構築することができます。プロジェクトでの検討は5回(月2回程度の開催)を予定しています。
導入期企業側に特段のこだわりが無ければ最短3ヵ月程度で導入することが可能です。

6.こじんまり人事制度を学ぶメリット

『こぢんまり人事制度』は中小企業をメインターゲットとし、簡単に構築、導入、運用をすることができる人事制度です。

人事制度を整えることで、「評価のパワー」を享受することができます。
「評価のパワー」には、
  • ・コミュニケーションの促進
  • ・モチベーションアップ
  • ・企業の価値観の浸透
  • ・能力開発
  • ・リーダーシップの後ろ盾になる
などがあります。
「評価のパワー」を享受できた結果、企業業績に好循環をもたらします。
『こぢんまり人事制度』であれば、中小企業であっても人事制度を導入することができ、「評価のパワー」を享受することができるのです。これは最大のメリットであると考えます。
また、昇給、昇格、賞与などの処遇の公平化も期待できます。

7.まとめ

『こぢんまり人事制度』は長年のコンサルティング経験等を踏まえ、無駄を省き、中小企業であっても簡単に人事制度を構築、導入、運用 できるように設計されています。

中小企業の経営者、中小企業の人事担当者はもちろん、中小企業を顧客とする社会保険労務士やコンサルタントに最適な人事制度といえるでしょう。
いかがでしたでしょうか。本記事でご紹介したように、様々な特徴を持つ『こぢんまり人事制度』を『人事コンサルタント養成講座』にて体系的に学ぶ事ができます。
ご興味を持たれた方は、ぜひ講座にご参加ください。